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2013年6月 4日 (火)

レジュメ「私は告発する~偽装選挙を実施した早稲田大学の実態」

 2013年5月18日に行われた、早稲田大学理事18人を刑事告発した松村比奈子さんの講演は非常に内容が濃いものだった。そこで当日来られなかった方のために、当日のレジュメを公開します。

私は告発する~偽装選挙を実施した早稲田大学の実態

―早稲田大学・刑事告発の経緯と今後の展望―

松村比奈子・博士(法学)

首都圏大学非常勤講師組合委員長

【早稲田大学を労働基準法90条違反で刑事告発】

《概要》

48日午後2時、早稲田大学名誉教授(労働法:法学博士)佐藤昭夫氏と首都圏大学非常勤講師組合委員長(憲法:博士(法学))松村比奈子は労基法90条違反により、早稲田大学を刑事告発しました。告発状は、それぞれ個人名で提出し、内容確認のため書類は受け付けられました。後日審査の後正式に受理され、特捜部に回されるとのことです。

◆告発までの経緯

(1)背景(非常勤講師専用の就業規則を作成・しかし手続きに違法性)

労働契約法の改正で、有期雇用労働者の契約更新が5年を超えた場合、労働者の申込みにより無期雇用に転換できるという「5年ルール」が4/1から施行。しかし複数の大学では非常勤の契約に新たに上限を設ける動きあり。

(2)就業規則を作成中?

 昨年12月に情報入手。今年1月の内部資料を確認。319日団交決定。

(3)過半数代表選出過程の偽装疑惑

大学側は、2/14に過半数代表の選出に伴う信任投票用紙を講師控室の教員BOX3799枚分を配布依頼し、2/28までに不信任のみ郵送するようにしたと説明。

*清水理事「みなさん、お分かりいただけると思いますが、非常勤講師の就業規則を手続き通りにやろうとしたときに、これは、できません。」

(4)団交における組合からの提案

この就業規則を一旦考え直すか、時間をかけて非常勤の意見も取り入れるべき。佐藤昭夫氏も違法な手続きだから期間を空けてやり直したらと忠告。

(5)大学側の強行

 3/25FAXで通知。同時に非常勤講師にメール・郵送で就業規則を送付。

(6)告発を決意

  3/28緊急院内集会後に対応を検討し、4/8に検察庁に刑事告発の届出を決意。

◆告発状の概要

(1) 告発状の主張と法的根拠

----------------------------------

【労働基準法】

90条  

1.使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

2.使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。」

102

労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

【労働基準法第90 - Wikibooks.mht

「労働者の発言の機会を保証し労働者が台頭の立場に立ち得る如く援助しているのである。」(『日本立法資料全集・労働基準法(昭和22年)』第53203頁)とあるように、労働条件対等決定の原則を尊重し、規則制定の一方性を和らげる。

意見聴取で足り、賛同を得ていることまでは求めない。(行政慣行・公権解釈)

労働側の賛同を得ていない就業規則が届け出られても、受理を妨げない(届出はなされたこととなる)という意図であり、当該就業規則の有効性は別途議論される。〔ウィキブックスより〕 

http://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%9F%BA%E6%BA%96%E6%B3%95%E7%AC%AC90%E6%9D%A1

【刑事訴訟法】

239条  何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。

241条  告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。

○2 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。

----------------------------------

 ※ある行為に対して法律で刑罰を科すことが定められている場合、その行為が犯罪

⇒刑罰というのは「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留(勾留ではない)、科料(過料ではない)

 ※またその行為が「悪質」「故意」「反復性」のいずれかに該当=起訴

(2) 90条に違反する3つの理由…その1

  過半数代表の選出手続きが全労働者に対して行われていない

「故意」に瑕疵ある(不適切な)過半数代表選出

(3) 90条に違反する3つの理由…その2

過半数代表の選出期間が明らかに非常勤講師の勤務期間

※【早稲田大学理工学術院|在学生の方|教員への連絡方法.mhthttp://www.sci.waseda.ac.jp/office/kyouinsitu.html

※【入学試験業務期間中の構内立入禁止について|インフォメーション|早稲田大学.mht

http://www.waseda.jp/jp/news12/130123_lockout.html

※【2011年度春休み中の大学 Q&A

http://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2011b/1267/267e.html

 過半数代表選出に非常勤講師の意志を反映させないための「悪質」な期間設定

(4)90条に違反する3つの理由…その3

 過半数代表の選出方法が労働者の支持を確認する民主的な手段として講じられていない

2000年に厚労省の下で行われた諮問会議では「秘密投票が望ましい」と提言

20130514労使協定における過半数代表者に関する調査研究会報告.pdf

※「その者を支持していると認められる民主的な手続きであること」が複数回強調

【改正労働基準法の施行について労基発.doc

36協定は就業規則の制定と異なり、代表者の意見を聞くだけでは成立せず、明確な合意の形成が必要

【東京労基局三六協定過半数代表について 201274152517.pdf

◆今後の課題

(1) 刑事告発で解決できることできないこと

 無効にできるのは5年上限の規定だけ

就業規則の制定は、あくまでも使用者の権限

(2) 当事者である非常勤講師の意思表示が不可欠

早稲田内で当事者である非常勤講師の意識の高まりと労働組合の拡大が急務

4/27:緊急説明会

⇒この数週間で20人ほど加入

(3)なぜ意思表示をしないのか?

1.非常勤講師の募集・採用過程は殆どの場合非公開

⇒専任教員に採用される道筋からはずれて不利

2.責任性の欠如

⇒意志決定から排除されることの慣れ

自分で行動し問題を解決するという意欲のない者が多い

◆最後に

(1) 労働契約法改正の功罪

  法改正を見る限りでは、非常勤講師は事実上適用除外

(2)なぜ無期転換したくないのか

今回の法改正による経済的リスクはない

⇒国会答弁で政府関係者が再三強調

(3) 大学の「無期リスク」とは何か

労働契約法改正で非常勤講師を無期雇用に転換した場合

⇒専任と非常勤との間のとんでもない矛盾の露見

その顕在化が大学の「無期リスク」

(3) 異常な給与格差による身分制社会

5コマの教育研究で一千万円の専任教員と、

同じ教育研究で150万円にしかならない非常勤講師

⇒格差を永続させ身分制社会を固定化=大学関係者の隠れた欲望

(4) 不可解な早稲田大学の財務問題

 早稲田の説明できない含み損

 公表できない損失が多額に上っているのでは?

(5)民主主義社会とは平等を前提にした自由である

労働基準法第1条の「人たるに値する生活」とは

憲法13条の「個人の尊重」、つまりは個人の意思が尊重される生活を念頭に置いて構想

   ⇒人を人の手段として扱わないことが、個人の尊重の主旨

労働基準法第2条にいうように

「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」

(6) 今後の予定

6月?労働委員会に救済申し立て

⇒裁判へ?

※「トーコロ事件」「白百合会事件」最高裁判決

その他の参考条文等

◆憲法第28

「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」

◆労働基準法

(1)労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」

(2)労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」

◆労働契約法第1

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。」

◆ユネスコ・教員の地位に関する勧告(1966)

「(第45項)教職における雇用の安定及び身分の保障は、教育及び教員の利益に欠くことができないものであり、学制又は学校内の組織の変更があった場合にも保護されるものとする。」

◆ユネスコ・科学研究者の地位に関する勧告(1974)

「(9項a)国の科学及び技術関係要員の不断の十分な再生産を維持するため、高度の才能を有する若い人々が科学研究者としての職業に十分な魅力を感じ、かつ、科学研究及び実験的開発が適度の将来性とかなりの安定性ある職業であるという十分な確信を得ることを確保すること。」

◆ユネスコ・高等教育教員の地位に関する勧告(1997)

「(第7項)高等教育教員の勤務条件は、効果的な教授、学問、研究及び地域社会における活動を最大限に促進し、並びに高等教育教員がその職務を遂行できる最善のものであるべきである。」

「(第46項)雇用の保障は、高等教育及び高等教育教員の利益に欠くことのできないものであり、確保されるべきである。」

「(第53項)高等教育教員の給与、勤務条件及び雇用条件に関するすべての事項は、高等教育教員を代表する組織と高等教育教員の雇用者との間の任意の交渉の過程を通じて決定されるべきである。」

《首都圏大学非常勤講師組合》 http://hijokin.web.fc2.com/

daigaku_hijoukin@yahoo.co.jp

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