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2010年6月 2日 (水)

新しい歴史をつくる~第二言論サミットの意義

 第一言論(大マスコミ)の現状を憂い、一種の対抗言論として提言された「第二言論」。第二言論にかかわるジャーナリストや表現者・活動家24人が一同に会して、それぞれの思想と具体的行動を語る「第二言論サミット」が2010年5月23日に開催された。これは画期的な試みであり、新しい歴史の1ページをつくったと言える。今はまだ小さな芽だが、3年後5年後に大きな意味をもつことになるかもしれない。

◇周辺から嵐は巻き起こる

◇熱くユニークで立体的な24人の表現

◇「残された課題」は実は課題ではない

◇問題提起そのものが決定的な第一歩

◇小さな実績の積み重ねで雰囲気を創り出す

◇対抗言論が硬直化しないために

◇全員の団結不要 無数の放射同心円を

◇全体を見渡す物見の塔

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◇周辺から嵐は巻き起こる

 大マスコミは、権力を監視するどころか、権力機構の一因として支配体制に組み込まれている。簡単にいえば、支配層の利益のために存在し、一般庶民に不利な情報と言論を展開するのが記者クラブ加盟社を中心とする大マスコミ(第一言論)ではないだろうか。

 官僚制と一体となって日本の民主化を妨害してきた記者クラブ。”エライ人”たちのなかにジャーナリストが入って行って仲間になる。たとえば竹下元首相が財界人・事務次官経験者・大手マスコミ人などを集めたグループ(俗にいう竹下機関)。また権力側から金をもらっていたジャーナリストもいる。

 そもそも大手マスコミの人たちは、派遣社員・パートなど非正規労働者、中小企業のサラリーマン、商店経営者などとは比べものにならない高額所得者。その彼らが財界人や政界人、官僚などとつきあい、なおかつ官庁内にある記者クラブで長時間過ごすから、頭の中が支配者に近付くのは自然だ。

 そのようなことは昔からわかっていたが、政権交代後にその保守性・反動性・権力との癒着が一層あらわになった。つい最近までは、自民党・財界・官僚など権力エリートたちと仲良しクラブにいたのに、政権交代後は、これからは今までのようにいかないことに気付いた。当たり前だが、自分たちの既得権を奪う改革や大転換など認めるはずがない。

 第一言論に対して、在野精神のある言論人や活動家が集まって、自分の主張を伝える手法を一人6分間話したのが「第二言論サミット」だった。

 社会や物事が大転換する火種と嵐は、底辺と周辺から巻き起こる。上層部や中央部にいる良心的で先見性のある人が変革の先頭に立つこともあるが、それは底辺と周辺から押し寄せるうねりに逆らえないと認識する判断力があるからにすぎない。

 第二言論サミットに集まった人びとは、嵐を巻き起こし、人の心に火を灯す人たちである。

◇熱くユニークで立体的な24人の表現

 それにしても、思想・立場・年齢・性別の違う24人が、一人6分間で語る集会は、どのような結果になるのか見当がつかなかった。

 この種の集会では、圧倒的に男性発言差者で占められることが多いけれど、当日は7人の女性論者が登壇した。

 また、民族主義団体の「一水会」から鈴木邦男さんと木村三浩さんが発言した。一方で、日の丸・君が代に象徴される教育の国家統制に、取材・情報収集・発信で対している教育ライターの永野厚男さん、反戦や差別に反対して街頭行動を実践している園良太さん、新宿西口で反戦の意思表示をプラカードに掲げて立ちつづける阿部めぐみさん・・・・。(集会発言者とテーマ一覧)などいろいろな人が集まった。

 さまざまな立場の人が同じ空間に存在していたし、共通する思想や主張であっても、各人の個性と方法がかなり違う。そのなかで木村三浩さんが話した、愛国者インターナショナルや日本共産党の委員長が初訪米という、かつてとは違う流れが起きていることも刺激的な事実である。

 24人の表現活動に接して、生活と人生をかけて頑張っているのだという熱い思いが伝わってくる。その雰囲気が会場内にあふれ、大方の参加者は24人の情熱のようなものを感じ取ったのではないだろうか。この「空気」「雰囲気」を創り出すことが重要だ。

◇「残された課題」は実は課題ではない

 その一方、残された課題も多い。まず、多くの人が集まったのは成功だったとしても、今後の方向性と計画・目標も立てなければならない。

1) 若い人にどのように刺激を与えるか。
どの運動でも、どのグループでも悩んでいることだ。あまり意識しすぎる必要はないが、念頭に置いておくことは必要だろう。これに関連して集まりや行動に参加する男女比率の問題もあろう。

2) 新しいイメージと古いイメージの運動
人は新しいもの、新鮮なものに魅力を感じるが、新しければ若ければいいわけではないから、難しい。なにしろ私は草の実アカデミーの意義について
「超レトロな言論活動」という一文を書いているのだし、「古くさいことが大好きだ」と世間に公言している男である。困ったものだ。

3) 表現の多様性をどこまで広げるのか
いろいろなことを主張するときに「表現方法」をどうするかの問題がある。街頭デモにおいても、サウンドデモと戦前から続くような古いデモ行進もある。コスプレや面白い山車(だし)をつくるパレ―ド方式もある。

 シュプレヒコールや街頭演説で人びとによびかけるときの用語の種類も、ビラのタイトル文案もいろいろある。落書きも表現だし、服装も主張につながる・・・。

 そして音楽やパフォーマンスで思想や主張を伝える人やグループもいる。やわらかく語りかけ誘いけるような運動もあるし、何かを明確に糾弾しなければならない場合もある。

 結局やりたいことをやるしかない。だが、工夫は必要だ。

4) ハードかソフトか
誰でも気軽に入ってこれそうな運動。きっちりとしたやる気のある人が集まる運動。そのときどきによって必要な形態が生まれるが、その判断が難しい。

 とまあ、さまざまな課題や問題がある。しかし、2010年5月23日に開催された「第二言論サミット」が一応は成功と言えるのも、今まで投げかけた問題を無視したからである。もちろん関係者の中で話題にはなり、日常的に話し合いはしている。しかし、これらを事細かにつきつめていたら、成功どころか、第二言論サミットの開催そのものがなかった。

◇問題提起そのものが決定的な第一歩

 一番大切なのは、第一言論に対して第二言論という世界を築こうと問題提起したこと。これが決定的な第一歩だと考える。大手マスコミは第一言論で、そうではない言論を第二言論と定義したことが重要である。

 この際「第三言論」でも他の呼び方でもかまわない。第二言論の意味として、ネットメディア・ブロガー・街宣活動・ビラまき・街頭デモなどを入れている。しかし、「第二言論」そのものの定義付けや、集まる人びとの枠組みが、事態の進行によって自然に変わる可能性もある。

 要は、問題提起をはっきりしたこと。しかも、非主流派のメディア関係者だけではなく、活動家と一緒に協同して提起した。これが決定的だ。

◇小さな実績の積み重ねで雰囲気を創り出す

 実績と実行こそが肝心だ。前述したように、定義付けやら集団(第二言論の枠組み)をどの範囲までひろげようか、つまりは発言者の許容範囲をどうしようか、という細かなことは決めなかった。

 結果として「第二言論の呼びかけ」に何かを感じた人たちが参加したのである。集まって話すのはいいが、そのあとどうするかも何も話し合っていない。「この指とまれ」「ちょっとそこでお茶でも」「まずは一緒にメシを食おう」「ちょっとビール一杯やってかない?」という感覚で呼び掛けたのである。ただし、“人民戦線兵士募集”という気持ちも私の心の奥底にはあったが(笑)。

 つまり、どうなることやら皆目見当がつかなかったのに、フタを開けてみれば物珍しさも手伝ってか、あっと言う間に24人の発言者が決まってしまった。さらには、「どんな会合なのかのぞいてやろう」と人びとが集まり、東京ウイメンズ・プラザホールは満席に近い状態になった。

 先に人が集まって席に着き、これからどうしようか考えるというわけである。もちろん逆の場合もあるが、第二言論にはどういう人に参加してもらい、何を排除するのか、綱領(合意)のようなものはあるのか、などは、後から調整してできあがっていく。

 24人の発言者と多数の聴衆が集まったことで、一種の雰囲気が創れた。第一言論はどうしようもないから、第二言論的ななにかをやらなければと、みんな強く思ったはずだ。熱気と空気と雰囲気、これがまず必要ではないだろうか。

◇対抗言論が硬直化しないために

 第一言論に対する第二言論は、「対抗言論」と言えるだろう。となると気をつけなければならないことは、硬直化しないことだ。「第二言論サミットへの呼びかけ文」でも述べたが、第一言論を打倒して第二言論が政権をとる、という感覚ではない。そうであれば、「政権奪取」以後に第二は第一になってしまうからだ。

 「対抗言論」という強い意志を持つことは必要である。が、第一言論意外の人は何でもかんでも第二言論だと位置づけていいのか。たとえば、大手マスコミ以外の在野の言論というだけなら、排外主義をとなえたり人を誹謗中傷するサイトやネットメディアも第二言論に入ってしまうだろう。

 反対に、事細かに定義を狭めて人びとやグループを遠ざけていいのか。あるいは、第一言論は全部敵だというように一方的に責め立てて世の中がよくなるのか。 

 ゆるすぎても機能しないし、厳密すぎて硬直化するのも避けたほうがいい。課題と悩みは尽きない。

 ではどうするか。ひとつは自然にまかせることである。こう言うと放置しておくようにとらえられがちだが、実態とか実績、いま現実にミニメディアなどで対抗言論を実践している人を指して、「この人たちの活動は第二言論グループですよ」と言えばいいのである。

 たとえば今回発言したインディ・ユニオンの小林蓮実さんやフリーター全般労働組合の清水直子さんが何か共同行動し、そこに映像製作者の早川由美子さんが来て撮影取材編集しているとしよう。このグループの行動と報道は「第二言論だな」といえる。

 あるいはミニコミをつくって30年間、廃刊にならずに情報を発信しつづけているグループも第二言論だろう。

 端的に言うならば、2010年5月23日、東京ウイメンズプラザ・ホールに集まった人たちが第二言論グループだと思ってもらえばいい。しかもこの枠組みは、人が集まってこれから創っていくのだから現時点で硬直化しようがない。

◇全員の団結不要 無数の放射同心円を

 とりあえずは第二言論サミットに、ざっと200人集まった。たとえばの話だが、集会の呼びかけ人である私が委員長を務める「草の実アカデミー」が中心となって、300人、400人、500人と集まり言論活動を展開したりメディアを作ればいいのか。

 それもひとつの案だろうが、むしろ当日集まった24人(あるいは参加者を含め200人)全員が、自分が中心のつもりになったほうがいい。中心にいるAさんから放射同心円状に人間関係やグループが広がっているイメージ。Aさんから放射線に沿って進むとBさんがいる.。Bさんは自分中心主義者だから、Bさんからも放射線同心円が広がっている。

 ある中心に向かって、どんどん人が集まるのではない。放射同心円状に街路網が走る巨大都市の建設ではなく、無数の放射同心円が混在してつながれている。これを私は自分勝手作戦と名付けている。「自分勝手」=自分が勝つための手法。

 東京の都市形成を思い浮かべてほしい。皇居を中心にして、おおまかだが放射線に伸びる街道と山の手通りや環七通りなどの環状道路で東京は形成されている。先に説明した一か所に集中するのではなく「無数の中心と放射同心円グループ」が必要と書いたのは、東京の街づくりでいえば、環状道路をもっと充実させよう、ということなのだ。

 強大な中心(皇居)から放射線のように伸びる道路建設は比較的容易である。青梅街道、甲州街道、中山道、新目白通りなどを通して巨大な中心点に向かえる。ところが、明治通り、山の手通りなどの環状道路が片道一車線しかなく舗装もされていないため機能しない。つまり、すぐ隣に仲間がいるのに、わざわざ甲州街道から都心に出て皇居のすぐそばの外堀通りまででてまた別の道路で郊外方面に戻らないと隣の友達のところにたどり着けないのだ。

◇全体を見渡す物見の塔

 
 このような不便さともったいなさ(となりに友人がいることにすら気付かない)を解消するのが、自分が中心だと自負し、その周りに放射線・同心円を描いてつながっていく方法である。

 こういうことも社会を改革する人びとや団体を結びつけるのに役立つ。第二言論はそのような役割を持つ。個別の政治運動や社会運動・市民運動・労働運動は、それぞれの事情というものがある。

 だが、第二言論は「言論」が中心になっているのだから、基本的に多くの人が参加できるはずで、都市を走る放射道路、同心円道路の役割があるはずであり、人間の体ならば血管の役割と言えるかもしれない。

 いずれにせよ、全体をうまくするために、見晴らしいのいい場所を確保して全体を見回し、どこに何があるかを見極め、必要とあれば交流jしネットワークをつくり、発言の場を提供する。2010年5月23日にスタートした「第二言論サミット」がそうなればいいと思う。どうぞ利用してください。

 2010年6月2日  林 克明(はやし・まさあき)
 

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